14日の憂鬱
普段は硬派で、あたしどころか他のクラスの女子とも滅多に話している姿を、今まで見たことがなかった。




実際、永井とこんなに話し込むことだって初めてだった。




そんな永井が…照れることもあるんだ。



そんな風に思うと、自然と笑いがこみ上げてくる。




『それに』




私の方を向きながら、言葉をつづり続けた。







『いつも練習頑張ってる佐藤の姿、……いつも見てたからよ』








『……な、がい…』


うそ…目の前にいるのはホントに永井?



ふざけてる?


からかわれてる?




ずっと、永井の事見続けていたせいかな。




コンタクトが乾いたのか、涙がうっすらと滲んだ。




……それとも。



感動しちゃってる? 私。


誰も気づいてくれないような、単に一人の野球部のマネージャーの私のこと…。



絡まったネットほぐしたり、みんなに飲み物差し入れしたり、タオル洗ったり、ボール拾って磨いている私のこと…。






そんな私のこと、気づいていてくれたの?


< 30 / 52 >

この作品をシェア

pagetop