14日の憂鬱
私にとって永井は、好きとかじゃなくて…



多分…



憧れの存在…



憧れ?




好きって…



こーゆー気持ちのことなの?






何だろ…今まで恋と思っていた気持ちとは少し違う。



誰かに憧れるのは初めてで、中学のときは確かに淡い初恋はしたけど。




違うの。



永井のことは、私だけが知ってる特許みたいな感じ…。





ただそれだけ、だよ…。




涙をすくっていたはずの永井のその手が、耳の辺りに触れて止まったときに、息をするのを瞬間的に忘れてしまった。






そして、さっきまで食べていたチップスの塩がついた口元を少し払う。




ゆっくりとごく自然の事のように近づいてくる永井の顔を見ると、心臓が激しく高鳴った。




あ……。





キス……。






頭では事の成り行きを見届けていて、永井の行為に引かれるように、私も目を閉じた。
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