14日の憂鬱
「私の……私のことを何でもないなら、チョコでも何でも受け取りなよっ」




「佐藤」




「意味分かんないことしないでよっ!!」




「佐藤」




「私ばっか、あのときのこと意識しちゃってさ…っ!」






「美奈」





「私ばっかり好きでバカみたいじゃん……」







その刹那。



さっき私が永井にしたみたいに、彼が私にキスしてきた。





「……ん……っ」




しかもそれは、先ほどとは比べ物にならないほどの激しいやつ。






窓から寒い風と雪が入り込むこの教室と、全くの違和感のある熱をはらんだキスは、すぐに私の思考を麻痺させた。





「な、……がいっ……」


合間に名前を呼ぶと、永井の力が緩んだ。





呼吸の仕方を忘れてしまう激しさに、立っているのがやっとだった。



もう十分に口内中をかき回してから、永井はやっと私を解放した。








「……俺のほうが先だよ」



「……え?」






お互い息を荒げながら、彼が不可解なことを口にした。






私は、ちょっとの間の酸素不足に頭がついていかない。









「俺のほうがお前より先に好きだ」





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