俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「愛子ちゃん…」


今にも泣きそうな愛子ちゃんに俺は囁いた。


怖がらないでよ


これで最後だから


今だけは俺を見てよ



俺は愛子ちゃんの柔らかい頬に触れた。



「っ…」


ビクっとなる愛子ちゃん。


愛子ちゃんの濃茶色の瞳に
俺が写る。


愛子ちゃんが俺を見てる


だけど愛子ちゃんは俺の視線から逃げるように、キュッと目を瞑ってしまった。


「………」


そんなに俺、いや?


わかっちゃいるけど、悲しい気持ちが込み上げる。



まぁ、俺が愛子ちゃんに触れるのはこれが最後だから。


あと少ししたら愛子ちゃんの
大好きな王子様が来るから



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