俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
N高から家までの道のりは―…
どうやって帰ったのかもよく分からない。
バタンッ!!
勢いよく扉を開けると、散らかった暗い玄関に現実感が押し寄せた。
空っぽのゴミみたいな家は俺にお似合いだ。
「っ……」
俺はそのまま泣き崩れた。
腕に顔を押し付けて嗚咽を押し殺して泣いた。
震える胸が後悔と孤独で押し潰されていく。
加奈子ちゃん…ごめん。
ごめんな
加奈子ちゃんが好きなのに
こんなに好きなのに
俺はこんな風にしか出来ないんだ…
愛情と嫉妬のぶつけかたが分からない。
もがけばもがく程
初めての感情に足をすくわれ、うまく泳げなくなる。
どんどん溺れて沈んで――…
ついに海面の光が届かない場所で迷子になってしまったバカな魚。
母親に捨てられて
ユキナに捨てられて
愛子ちゃんにフラれて
やっと手にした愛情を――…
俺は自分の手で壊したんだ。