俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「今夜は冷やし中華買ってきたから」


親父はダイニングに座ると、
プシュッと缶を開けた。


「ちゃんと食わないと元気でないぞ」


「…………」


親父の言葉に俺はとりあえずダイニングに座った。


3日ぐらいは食欲もなかったけど…


4日目になると腹は普通に空くようになっていた。


普通に腹がすく自分にも嫌になる


冷やし中華は普通に旨い。


冷やし中華を食べる俺の前で、親父もビールを旨そうに飲んでいた。


親父の喉がごくごく動く。


そして、ビールを置いた親父はふいにそんなことを言い出した。


「あ―…俺も恋がしたいなぁ」


は…?

…何いきなり言い出してんの?


「別にすりゃ良いじゃん」


俺はしらけながら言った。


親として息子の俺に遠慮してんのか?


「…遠慮とかなら別にして要らないから」


母親に未練なんてないし。


親父が再婚しようがしまいが、特に反対する気はなかった。


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