俺はお前だけの王子さま～ヒロキと加奈子～

夏休みの高校は

部活の生徒の声で意外なくらい賑やかだった。


俺はこっそりと体育館を見る。


バレー部は今も練習中なんだろうか…？


心臓がドキドキと緊張で痛くなってくる。


一目見たらそれだけで良い。


むしろこんな女々しい姿、
見つかりたくはなかった。


外周を終えた汗だくの男集団が体育館に戻ってきたらしく俺の横をすり抜けていく。


バレー部男子の集団らしく偶然その中に、小森の姿を見つけた。


「………ッ」


瞬間的に、俺の中で小森に対する嫉妬が鮮やかに蘇った。


ムカつく…

ムカつく…


俺は小森の背中をこっそりつけた。


小森の背中を睨み付けながら、殴りたい衝動を抑える。


なんでこんな男が加奈子ちゃんの元彼なんだ。


加奈子ちゃんはなんでこんな奴を好きになったんだ。