俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「こら――――ッ!!!」


ガシッ!!


俺の振り上げた拳は捕まれ、
そのまま後ろから羽交い締めにされた。


「!!」


「何やっとるか!!」


ぐしゃっと俺はそのまま体育の教官に地面に倒され、背中を抑えつけられた。


「っ…!」


俺が抵抗しても強靭な太い腕には勝てなかった。


「げほっ…けほッ…」


小森はようやく起き上がると、口から血を流してむせ込んでいた。


いつの間にか


部活連中のやじ馬が集まり騒然とした雰囲気になっていた。


「来なさい!」


俺は教官にねじ伏せられたまま教官室に連行された。


「…………っ」


くそっ…


俺は悪くない

悪くないのに――…







そして

やじ馬を抜ける途中―…


「…ヒロキくん?」


「………」


俺が顔をあげると

怯えた顔をした加奈子ちゃんと目が合った。




「加奈子…ちゃん」


「…………」







いちばん見られたくない姿を…

加奈子ちゃんに見られた。


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