俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「水梨く…」


愛子ちゃんが俺の名前を呼んだ


それと同時に


俺の体は愛子ちゃんから離された。




「…なにやってんの?」


頭上から聞こえてくる怒りに満ちた低い声


なにやってんのって…
俺が言いたいし


やっと来たんかよ――…


俺が声の方に視線をやると、
俺を睨む春馬が立っていた。


めっちゃ怒ってる俺の親友。


怒りたいのは俺だっつうの…


マジで世話がやける奴

どんだけ馬鹿だよ。




なのに俺はいつも

こいつに敵わない



俺だって好きなのに

俺だって見て欲しいのに…




ぎゅ、と俺は砂を握りしめた。


しりもちをついて砂まみれの俺


カッコ悪…




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