俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「今晩さ、一緒に飯くえる?」


「ん?家に連絡すれば大丈夫だよ」


そんなやり取りの末


俺たちは家に向かう途中、夕飯の買い出しをした。


「俺、グラタン食いたい」


「え~?私、掃除は得意だけど料理は苦手だよ~」


カートを押しながら野菜売り場を物色する加奈子。


苦手と言いながらもジャガイモやベーコンをカゴに入れてくれる。


「大丈夫だよ。俺、多少出来るから一緒にやろ」


一通り買い物を済ませると
ビニール袋を下げて家まで歩いた。






家につくと

俺はまず買ったものを空っぽの冷蔵庫にしまう。


ついでにコップに氷と麦茶を注いだ。


そんな俺の後ろで、遠慮がちにキョロキョロする加奈子。


「親父は夜まで仕事だから気ぃ使わないで良いよ」


俺は加奈子に麦茶を手渡しながら言った。


「とりあえず暑いし部屋で休憩しようぜ」


加奈子はコップを受け取ると、小さく頷いた。


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