俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「リビングは来たことあるけどヒロキの部屋にちゃんと入るのは初めてだし緊張する」


リビングから部屋に移動する廊下で加奈子はそう言った。


「あはは、ちょっとは綺麗にしたけど狭いよ」


てか加奈子が緊張するせいで、俺までなんか緊張するし…



そして俺は自分の部屋に初めて人をあげた。


「わぁ…こんな感じの部屋なんだ」



この部屋に

自分以外の人間がいるのが少し変な感じがした。


麦茶片手に俺の部屋をキョロキョロ見渡す加奈子。


「あんま…見なくていいから」


完全に心の内側まで見せてしまっているような…

少し気恥ずかしい感じだ。


俺はクーラーを付けると加奈子の手から麦茶を取って勉強机に置いた。


「適当に座ってよ」


「うん」


俺はベッドにもたれるように、

加奈子はそんな俺から少し離れた位置に


それぞれ座った。


「……………」


「……………」


普段ガンガン喋る俺たちなのに


なんだか沈黙してしまった。


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