俺はお前だけの王子さま～ヒロキと加奈子～

沈黙する俺に加奈子は詰め寄る


「私…本当のことが知りたい」


「…………」


俺は小さくため息をついてから加奈子を見た。


「そうだよ。」


「…………」


「ついでに言っちゃうと…アイツが次は加奈子を狙ってるって聞いて」


「え…？」


「許せなくて殴った」


「…………」


俺の言葉に加奈子は少し驚いたように固まっている。


そんな加奈子に


「俺、怖かった？」


俺はあの日

連行される俺を怯えた瞳で見つめていた加奈子を思い出し、少し不安になった。


そんな俺に加奈子は大きく首をふる。


「ううん、違うの。ヒロキが殴ってしまった理由が、嫉妬だけじゃなくて私の為だったんだなって思って…」


「…………」


「誤解してしまってて…ゴメンねって謝りたくて」


「…………」


「本当にごめんね」


そう言いながら頭を下げて謝る加奈子に


俺は少し照れ臭くて頭をかいた。


「いいよ。てか小森の話しはもう終わり」


「うん」


「あと、もう話しかけられても無視してよ」


「う…ん。わかった。」


「あ？何その中途半端な返事は」


軽く睨む俺に、加奈子は慌てて苦笑いする。


「ゴメンゴメン。ただ…無視は苦手で」


そんな加奈子に俺はため息をついた。