俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「……!!」
や ば い!
その一瞬で―――
部屋の中は慌てふためいた空気になる。
「おいヒロキ―?いるのかぁ?」
親父が廊下を歩く音。
「いるよ!いるいる!」
俺は加奈子の服を探しだすと、猛スピードで自分も服を着た。
「あぁ…と、今からリビング行くから!」
俺が大きめの声で返事すると
外から親父の、わかったという返事が聞こえた。
そして、遠ざかる足音。
親父が部屋の前を通り過ぎた時思わず俺はため息をついた。
そしてようやく体の緊張がほぐれる。
「…………」
同時に
まさかのタイミングに肩がガックリと落ちた。
「あり得ねぇ…」
あり得ねぇ…。
プールでのホイッスルといい、
今回の親父といい…
俺を苦しめて喜ぶ奴がいるんだろうか?
「はぁ………」
思わずまたため息をつくと、
加奈子は恥ずかしそうに苦笑した。