俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
俺が愛子ちゃんを見ると


愛子ちゃんはなぜか春馬に気を使うように苦笑いしていた。


「あ…うん。実は今日で17歳になりま~す」


そんな愛子ちゃんを少し不思議に思いながらも、俺がおめでとうと言いかけた時


春馬から意外な言葉が飛んできた。


「は?渡瀬今日誕生日なの?」


――はい?


春馬の言葉に俺も思わず驚いた表情になる。


「はぁ?春馬も今知ったのかよ?」


「…………」


黙る春馬に愛子ちゃんは手を合わせた。


「ごめんね!なんか自分の誕生日とか…言うタイミングがなくて」


申し訳なく謝る愛子ちゃん


「えぇ?愛子それは言わなきゃ駄目だよ~」


加奈子も愛子ちゃんの隣で驚いた顔をしている。


「うん…だからゴメンて…」


愛子ちゃんは叱られた子供のようにしゅんと肩を落とした。


そんな愛子ちゃんはなんだか可哀想だけど、春馬もなかなか可哀想だ。


彼氏の面子が丸つぶれだ


「ははは、マジで?」


俺は思わず笑ってしまった。


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