俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
ヒュ~♪
静かな教室の中に響く口笛の音色。
俺の口笛に教室中の生徒が一斉に振り返った。
みんなの注目を浴びて、ちょっと快感だ。
俺はゆるく入り口にもたれながら
照れて動けなくなっているバカ春馬をにやりと見た。
「王子様、愛されてんね~」
「……黙れよ」
俺の言葉に春馬もようやく重い口を開いた。
その耳は少し赤くなり照れ隠しなのか不機嫌な顔をしている。
かわいい春馬に
ぷは、と思わず笑ってしまう。
「お前ら…!今までどこでサボってたんだ。」
ハゲ桂の怒鳴り声が飛んでくる。
だけど今の俺には痛くも痒くもねぇんだよ。
「ん~腹痛でした♪」
気分の良い俺は笑顔で謝りながら席につく。
一方、春馬は無言のまま愛子ちゃんの席の横に立った。
「お前…何やってんの」
「ご、ごめんなさい…」
「…………」
春馬は愛子ちゃんの腕を掴んで立たせると
そのまま強引に教室から愛子ちゃんを連れ出した。
おぉ…!
俺のテンションはガンガン上がる。
「王子…?お前どこに行くんだ!?HR中だぞ!」
ハゲ桂の声が響く。