俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
俺は深いため息をつきながら


先をゆく加奈子の後に続いて部屋に入った。


今の俺はまるで


イチャイチャという餌を前に、しつけをされている犬だ。


部屋に入ると加奈子はもう机の前に座りスタンバイしていた。


「ヒロキ、進路表はある?」


「…………」


俺は無言のまま


かばんの底でクシャクシャになっていた紙くずを取り出し


部屋の真ん中にあるテーブルの上に放った。


加奈子はそれを丁寧に伸ばしてテーブルに広げる。


「ほら、ヒロキも座って?」


「はぁ…マジでやるの?だりぃよ…」


「延ばせば延ばす程ダルくなるよ?」


「…………」


加奈子に諭されて俺も渋々、テーブルの前に胡座をかいた。


「ヒロキは行きたい大学とかあるの?」


「ん~…なし」


「得意な科目とかなんだっけ?」


「んなの、ねぇよ」


「将来やりたい事は?」


「……わかんねぇ」


「じゃあ一緒に考えなきゃね」


加奈子から無理やりシャーペンを手渡される。


俺は反抗する子供のように机に頬杖をついた。


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