俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
―――翌朝


俺は加奈子に会うのが少し憂鬱だった。


結局、昨日は気まずいまま別れたし昨夜はあれからメールもしなかった。


俺から謝るべきなのか…?


だけど俺はどっちかっていうと傷付けられた方だ。


なのに俺が謝るのか?


100歩譲って俺が謝るにしても…


加奈子が不機嫌になった理由も分からずただ謝るのは無意味な気がした。


そんなことを一晩考えている内に、更にどうしたら良いのか分からなくなった。


不可解なのは、加奈子からの朝のモーニングメールがいつも通り普通に来たこと。


普通に来たから俺も当たり障りなく返事はした。


だけど顔を見たらどういう態度を取ればいいんだ…?


そんな事をウダウダ考えながら重たい足取りで教室に入ると


春馬がのんきに窓際で机に突っ伏して寝ていた。


「春馬、はよ」


「―…ん」


俺が春馬の前の席に座ると


突っ伏したまま、目だけで俺をちらりと見た春馬。


黒猫みてぇ…


そんな姿すら絵になる親友。


迷いなく自分の将来に向かってひた走る春馬の横にいると


俺は自分の進路について考えるのが余計に嫌になる。


何も無い自分から逃げたくなる。


俺はポケットの中に突っ込んである進路表をぐしゃぐしゃと握りしめた。


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