俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
なぜなら加奈子は弁当の時間まで見事に俺を避け続け


4人で昼を食べる間も、俺の顔を見ようとしなかったから。


一見すると全然怒ってる風ではない。


春馬や愛子ちゃんは気付いてないかもしれない。


だけど確実に俺は避けられていた。


なんつ―か


女の子特有のキレ方だよな。


こういうやり方には、さすがに俺も気が滅入ってしまう。


怒ってるなら平手打ちにされたとしても


ちゃんと怒られたほうがマシだ。


「マジで意味がわかんねぇ…」


5現目の体育の時間


男子は体育館で女子はテニスだった。


俺は加奈子の無視のおかげで、体育を受ける気分には到底なれなかった。


「はぁ…」


俺はため息をつくと、アップのランニングの列からこっそり抜け出した。


体育館の外に出ると12月の澄んだ青空が広がっている。


俺は体操服にジャージ姿のまま


体育館の2階と校舎の2階をつなぐ渡り廊下に行ってみた。


そこからはテニスコートを見下ろせるのだ。


俺は渡り廊下からテニスの授業をしている加奈子達をぼんやり眺めた。


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