俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
その日の放課後










俺は誰も居なくなった教室で、おっさん教官にもらったパンフレットを見ていた。


A南大学の体育学部


部活もやってない俺が推薦を受けることは無理だから


となると一般入試…


体育学部の一般入試は、小論文などの学力テストの他に体力テストと面接なども行うらしい。


体力テストに学力テスト…


目の前に出来た高いハードルに尻込みしそうな気持ちになる。


と同時に


やっと見つかったリアルな課題に闘争本能も掻き立てられた。


いい加減で適当な俺だけど…


加奈子と一緒にいたい気持ちだけは本物だから。


"志望動機が彼女なんてカッコいいじゃねぇか"


おっさん教官の言葉は不安定だった俺の心に勇気をくれた。


俺の志望動機は恥ずかしいことじゃない。


そう思うだけで、霧のような迷いが晴れてゆき


こんな自分でも頑張れる気がした。


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