俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「ばか…やだも~見ないで」


「…………」


「…みないでってば……///」


加奈子は顔を隠すように更に深くうつむいた。


おろした髪からもぐもぐと動く可愛い唇だけが見える。


俺はそんな加奈子をただただ見つめていた。


加奈子はごくんとドーナツを飲み込むと


ようやく少し上目遣いで俺を見る。


「へへ…なんかヒロキ変わったね。そんな風に思ってくれてるって言ってくれて凄く嬉しい///」


「…………」


「あと、私こそゴメンね?しばらく無視したりして」


久しぶりに見る少し甘えた加奈子の表情。


加奈子…


俺の心はキュンとして
ようやく緊張がほぐれていった。


「ほ…んとだし。無視とかされて俺マジで凹んだ」


少しすねる俺。


「だって、ヒロキそれくらいしないと真面目に考えなさそうなんだもん」


いたずらっ子のように舌を出す加奈子。


「は―…なんだよそれ~マジ嫌われたかと思ったんだから…」


俺は思い出すだけでもまた落ち込みそうになった。


そんな俺に加奈子は優しく微笑んだ。


「ふふ、なんでよ?こんなに大好きなのにそれくらいで嫌いになる訳ないじゃん」


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