俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
3年生
幸せだったクリスマスが過ぎると
時間はめまぐるしく時は流れた。
年末は加奈子は家族と過ごすため会えなかったが
正月は一緒に初詣に行った。
俺のおみくじは末吉。
絵馬に、A南大学合格!と書いたら気が早いと加奈子に笑われた。
3学期になると
加奈子も塾に通いだし、忙しいスケジュールの中で二人の時間はさらに減った。
それでも俺は、今までにない程の充足感を感じていた。
その一番の理由は、
俺の予備校でのクラス順位が上がったことだと思う。
通いだした頃には基礎すらも出来ていなかった俺だけど
春休みを迎える頃には最下位のクラスから真ん中のBクラスに上がり
そのクラスの中でも学力は上位に上がることが出来ていた。
もともと競うことが好きな俺。
努力に結果がついてきたことでますますやる気を感じていた。
「ヒロキは器用だから、本気になればなんだって出来るんだよ」
加奈子はそんな風に俺を励ましてくれた。
最初は遥か彼方、雲の上だったA南大学が
分厚いその雲の切れ間から少し見えた気がした。