俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「おい」


ガツン、と俺は春馬が突っ伏している机の足を軽く蹴った。



「ぁ…?」


寝ぼけた不機嫌顔の春馬が顔を上げる。


「春馬。今日海に行かねぇ?」


「………は?」


「海だよ、海。加奈子と愛子ちゃんも誘って」


「………なんで?」


「あ?気分だよ、気分。いいだろ別に?」


この切なさを語るのに、俺は海に行きたかった。




「…………冬だぞ、今」


「は?分かってるっつの。季節忘れるほど馬鹿じゃねぇよ。てかなに?今日お前無理なの?」


「……別に…大丈夫だけど」


「んじゃ決定!愛子ちゃんにメールしとけよなっ」


「……………」


そして、春馬はまた寝た。


俺は速攻で加奈子にメールを打った。


こうして、俺たちは放課後久しぶりに4人で海に行くことになった。


< 245 / 280 >

この作品をシェア

pagetop