俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~


ザザ―――…ン







いつの間にか


波の音と共に、水平線に溶けていく夕日。



オレンジ色の光がきらきらと、冬の海と俺たちを鮮やかに染めた。



俺たちは、砂に足を取られながらも馬鹿みたいにじゃれた。


この4人でこんな風に集まる事も、これでしばらくないんだと全員が感じながら。







「…寒いし風邪引いたら駄目だからそろそろ帰ろっか?」


決意したように愛子ちゃんが言うと、今度こそ淋しい空気が漂った。


「ん。帰るか」


そんな気持ちを押し消すように春馬が迷いなく歩き出す。


俺はそんな春馬の背中を見ながら、その姿を目に焼き付けていた。








卒業まで、あと少し。







< 249 / 280 >

この作品をシェア

pagetop