俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
ザザ―――…ン
いつの間にか
波の音と共に、水平線に溶けていく夕日。
オレンジ色の光がきらきらと、冬の海と俺たちを鮮やかに染めた。
俺たちは、砂に足を取られながらも馬鹿みたいにじゃれた。
この4人でこんな風に集まる事も、これでしばらくないんだと全員が感じながら。
「…寒いし風邪引いたら駄目だからそろそろ帰ろっか?」
決意したように愛子ちゃんが言うと、今度こそ淋しい空気が漂った。
「ん。帰るか」
そんな気持ちを押し消すように春馬が迷いなく歩き出す。
俺はそんな春馬の背中を見ながら、その姿を目に焼き付けていた。
卒業まで、あと少し。