俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
しかし春馬は理解できないという冷ややかな目で俺を見た。


「そんな目で見んなよ?名前を残すのは男のロマンっしょ」


「…………」


春馬はふぃと視線を背けるとまたあくびをした。


くく…

ひでぇなぁ、もう。


だけど春馬に素っ気なくされて俺もなに喜んでんだか。


「はぁ~でもマジで春馬と一緒にこんな馬鹿やんのも今日で最後だなぁ」


俺は視線を落としシャーペンをくるくると指で回した。


小学生ん時から隣にいた春馬。


正反対なのに、気が合って。


春馬に負けたくない、だけど俺はいつも負けっぱなしで


春馬の事が好きなのに憎かった。


そんな風に感じてしまう自分がもっと嫌で


だけど自暴自棄になった俺を支えてくれたのもやっぱり春馬で。


そんな春馬が…


「なんか実感ないけど…明日にはいなくなるのか」


俺にとって春馬はすげーデカい存在だった。


俺、めっちゃ春馬に迷惑かけてきたし。


なのに俺、まだ春馬になにも伝えてねぇ…



伝えてねぇよ。



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