俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
そんな俺に、春馬は気だるく頭をかいた。


「お前はまたそういう…」


「いやいや、今は言わせろ」


俺はもう一度俺を見上げた。


「こんな機会じゃなきゃ言えねぇし…明日はしんみりしたくないから今言うけど」


前の俺ならきっと言えなかった。


言ったら本当に春馬に負けた気がして…


ずっとちゃんと言えなかった。


だけど


今の俺には負けとかそんなん、もうどうでも良いんだ。


「春馬、今までありがとな。こんな俺にずっと付き合ってくれて。」


俺はペコッと頭を下げた。


「春馬がいなきゃ俺多分高校も辞めてたわ」


本当にそうなんだ。


春馬がいなきゃ、俺ここにいなかった。


加奈子ちゃんとも出逢えなかった。


俺…自分の事が嫌いなままだった。


「マジで春馬がいて良かった」


そして俺は春馬を見ると、にかっと笑った。


「…………」


春馬は無言のままスィ…と視線を反らした。




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