俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
そんな俺に



「たかがNYだろ。同じ地球上だ」



春馬がぽつりと言う。



「……………」


「じゃーまたな」


そして春馬は別れ際、小さく笑うと俺に言った。


「ありがとう」
















「ちょっ…ヒロキ…何泣いてんの~?!」



俺と合流した加奈子の第一声。


「……………」


俺は校内にも関わらず加奈子をギュッと抱き締めた。


まだ残っている生徒たちが、
おぉ~っと好奇の目で俺たちを見る。



冷やかす声とか、どーでもいい










「そんなに好きなら空港まで見送ればいいのに」


抱きつく俺に加奈子が呆れた声を出す。


「……ヤだ。泣きたくねぇもん」


「ぷっ、てかもう泣いてるじゃん」


「…………」


俺は返事の変わりに加奈子を抱き締める腕にギュッと力を込める。


「よしよし、も―ヒロキは仕方ないな~」


俺の背中をなでなでする加奈子。


って俺は子供かよ




「…加奈子むかつく」


俺は反撃するように、さらに腕を回すと加奈子の脇腹をこしょばした。




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