俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
それから俺は加奈子を連れて、教官室にも行った。
おっさん教官は今や俺の心の恩師だ。
「やっと問題児が卒業するか。ったく心配ばっかりかけおって…」
「っちょ!やめろよっ」
おっさん教官は愛情が込められた手で俺の髪をぐしゃぐしゃにした。
バレー部顧問でもあるおっさん教官は加奈子のことも良く知っている。
「岩コーチとヒロキがこんなに仲いいなんて知らなかった~」
「だろ?コイツしょっちゅう俺んとこに泣きにきてなぁ」
「は?///おっさんの前では一度も泣いてね~よ!」
教官室で俺たちは笑い合う。
おっさんの珈琲の匂いが充満する部屋で、居心地のいい時間が流れる。
「まぁ、たまにはまた遊びに来いや」
ひとしきり話を終えると
おっさん教官は俺と加奈子を出入口まで見送ってくれた。
そして
バシッと俺と加奈子の背中にエールを贈る。
「がんばんだで」
今までおっさんの声に、どれだけ励まされただろう。
おっさんの眼差しに胸が熱くなる。
「岩コーチありがとうございました」
頭を下げる加奈子の横で、俺も頭を下げた。
おっさん教官…ありがとう。
そして俺たちは教官室を後にした。