俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
教会内の照明がフッと暗くなりパイプオルガンの音が響く。


教会の大きな扉が開くと、まばゆい光が差し込んだ。


その光に包まれるように、純白の加奈子の姿が見えた。


そのあまりの美しさに俺は息を飲む。



一歩、また一歩……


ゆっくりと俺に向かって歩いてくる加奈子。


俺はその姿を一秒も逃さないように


この目に焼き付けていく。



そして、加奈子の父親から俺に加奈子の手が任せられた時


加奈子の瞳にきらりと光る涙が見えた。









その健やかなる時も

病める時も

喜びの時も

悲しみの時も

富める時も

貧しい時も


これを愛し これを敬い

これを慰め これを助け


その命のある限り、真心を尽くすことを誓いますか?



神父の言葉が静かに響く。


俺はその言葉を胸に焼き付ける。


これから先の長い人生、いろいろあるだろう。


だけど、どんな時にも加奈子だけは……


加奈子だけは、守り抜くよ。



加奈子だけは―――……



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