俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「俺、ほんとカッコ悪い。ごめんね…」
俺は頭を下にうなだれる。
加奈子はそんな俺の隣にゆっくりと腰を下ろした。
「そんなことないよ。だってあたしの旦那さんだもん」
加奈子は優しく微笑んだ。
「今日のヒロキも、今までのヒロキも…全部ぜんぶ、かっこいいんだよ」
そんな加奈子に俺は胸が熱くなる。
「……なんか、加奈子って母親みたい。俺…きっと無意識の内に探してたんだよな、母親の影をさ…」
「…………」
加奈子は俺を優しく抱きしめた。
「……あたしがなってあげる」
「……………」
「ヒロキが望むなら、母親だって、女にだって…なんだってなるよ?」
「加奈子……」
「ねぇ、ヒロキ…あなたは愛される為に生まれてきたんだよ」
加奈子は優しい目で俺を見つめた。
その瞳はどこまでも俺を包んでいて…
「加奈子…」
気づけば俺は涙を流していた。