俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~

加奈子ちゃんと二人きり

―――…


俺が課題を写していると間もなく

暇だったのか春馬は愛子ちゃんに家を案内すると言って二人揃って出ていってしまった。


付き合いだして遠慮ない春馬。


そんなに愛子ちゃんと二人きりになりたいのかよぉ


全く誰のおかげで…


って別に俺が何かしなくても、あの二人は付き合ってたんだろうけど。


そんなガキみたいなひがみは胸に閉まって俺は大人しく課題を映す。



カリカリカリ―…


「…………」

「…………」


取り残された部屋に俺のシャーペンの走る音だけが響く。


加奈子ちゃんはやることがなく少しそわそわしていた。


そんな俺も課題を写しながら、この沈黙をなんとかしなきゃと気付いてる。


だけど

何故かいつもの軽快な適当トークが浮かんでこない。


……どうした俺


適当な俺はどこ言った?


愛子ちゃんとすらこんな気まずい空気にはなったことがない。


どんな時でも俺が喋り続けてたから。


そしてその適当さこそが俺の心を守る唯一の壁だったのに――…


「…………」


気まずい沈黙の中


俺は心の中で加奈子ちゃんに、罪悪感を感じつつ

この空気には気付かないふりをして課題を写し続けた。

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