俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
そんな風に感傷に浸っていると


「やったぁ!」


加奈子ちゃんの歓声が聞こえてきた。



―――あ?


俺がTV画面を見るといつの間にかゲームが始まり俺は早くも負けていた。


「ヒロキ君弱いね」


加奈子ちゃんは悪戯な顔で俺を見る。


む…


「てかゲーム始まってたの気付いてなかったんだけど」


不意討ちとかずるくねぇ?


だけど、加奈子ちゃんも意外と負けず嫌いなのか言い返してきた。


「ぼんやりしてるのが悪いよ。油断大敵って言葉知ってる?」


カチン

加奈子ちゃんのその態度で俺の勝負魂に火がついた。


「次はぜってぇ負けねぇし」


「むりむり。私ほんと強いもん」


「……………」


加奈子ちゃんてこんなキャラだっけ?


俺が思わず加奈子ちゃんを見ると加奈子ちゃんは本気でゲーム画面を見ていた。


「ほらほらまた始まってるよぉ?」


「……え?」


若干ぼんやりしていた俺は慌て前を向いた。


やべ…

つか加奈子ちゃんマジで強ぇ



俺はいつの間にか本気で加奈子ちゃんと対戦をしていた。



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