俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「俺…気になる子ができたわ」


春馬にはまだ何も話していないから俺はここから話し出した。


《…は……?》


春馬の少し驚いた声。


そりゃそうだ。

あんだけ愛子ちゃんと春馬の邪魔をしといて…


俺何してんだろう



「あんなに愛子ちゃんに本気だったのに…やっぱ、あり得ないよなぁ?」


《………》


「しかも中学以来ずっと本気になれなくて、やっと愛子ちゃんに本気になったとこでさ。」


《………》


「その失恋直後じゃん?やっぱ俺、頭ヤバい?自分でもさすがにちょっとあり得ないとか思うんだよな」


いざ話し出すと、思い詰めていたものがどんどん出てきた。



《……誰だよ?》


春馬の冷静な声に



「…………加奈子ちゃん…」


俺はついにこの気持ちを声に出してしまった。


「俺マジで最悪だわ」


《は…なんでだよ?》


「だって愛子ちゃんの親友だぞ?乗り換えるのも速すぎだしよぅ…」


《………》


電話の向こうから春馬の小さなため息が聞こえてきそうだった。


< 58 / 280 >

この作品をシェア

pagetop