俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「ちょっ…加奈子ちゃん待ってよ!」


俺もザバザバと水をかき分け、プールサイドに手をかけた。


このまますぐ追い掛けようとしたが…


今、水から上がると男の諸事情でいろいろビジュアル的にヤバい。


俺は情けなく体半分がプールに浸かったまま加奈子ちゃん呼んだ。


「加奈子ちゃん!待てってば!!」


もうすでに少し離れた場所まで歩いてしまった加奈子ちゃんは


俺を振り返ると悲しそうな顔をした。


「ヒロキくん酷いよ…私の気持ち知ってるくせに…!」


「………」


「私…ヒロキくんの傍でヒロキくんを元気づけたいけど。都合の良い女にはなりたくないよ…」


加奈子ちゃんはそう言うと再びスタスタと歩き出した。


「待っ…!」


くそ…

今日はちゃんとを伝えるつもりだったのに


浮かれたテンションに気持ちが先走ってしまった。


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