俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「………」


加奈子ちゃん


なんでそんなに切り替えが早いんだ。


残された右手に視線を落とすとまだやわらかな感触が残っていた。


恋のエロ神様はなんてタイミングで俺と加奈子ちゃんを引き裂くんだ…



「…はぁ」


俺は全然納まらない気持ちを、ため息にかえるとザバッと滝からでた。


冷たい水を頭からかぶるとようやく少し熱が冷める。


俺が加奈子ちゃんを探すと、プールから引いていく客に混じり


加奈子ちゃんはつま先でちゃぷちゃぷと跳ねながら亀のような速さでプールサイドへ進んでいた。


「待ってよ。俺が引っ張るから」


俺はザブザブと加奈子ちゃんに追い付くと浮き輪ごとグイグイ加奈子ちゃんを引っ張った。


「…ありがとう///」


「どういたしまして~」


爽やかな笑顔で加奈子ちゃんに余裕をみせながら


プールサイドに辿りつくまでになんとか下半身を鎮めないと…


俺はそんなアホな事を考えていた。


つ―か今日はこれの繰り返し…

まるで不発弾にでもなった気分だった。


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