俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
だけど――…


さりげなく周りを気遣う優しい雰囲気とか


ヒマワリのように輝く笑顔は、誰よりも魅力的だと思った。



「はぁ…」


加奈子ちゃんを見ていると、
今すぐ抱きしめたくなってきた。


やばいな~俺。

どんだけ好きだよ。


春馬がいたら、またお前は…
とか言って馬鹿にされそうだ。


「あ…」


練習が終わったらしく、ぞろぞろとコートから引き上げでいく加奈子ちゃんたち。


試合前に話しかけよう。

そしてあわよくば抱きしめたい


そんなよこしまな下心を胸に、俺は1階に降りようとした。


その時ふいに


加奈子ちゃんに話しかける男の姿が目に入った。


「あ?誰だあいつ…?」


男もうちの高校のユニフォームを着ているから同じく練習試合にきたバレー部の男子だろう。


同じ学年か?

全然知らない奴だけど…


仲良さそうに体育館の壁際で話をする二人に


「…………」


俺は思わずそのまま2階から、その様子を見てしまった。


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