俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
「あのさ。小森って夏木さんと仲いいの?」


俺の問いに、彼女たちは頬を染めながら顔を見合せた。


「ん…と、加奈子は小森君の元カノだよね?」


「そうそう。でも小森君が梓を好きになったから加奈子がフラれて」


「あ、でも小森君、梓ともなんか別れそうらしいよ?」


「え?それマジで~?」


バレー部の彼女たちは噂が大好きらしい。


俺と加奈子ちゃんが付き合ってることを知らないのか、


彼女たちは小森についてペラペラと話してくれた。






「おい!次の試合始まるぞ―!!」


「あ…っ!はい!」


体育館から顧問の声が聞こえ、彼女たちは慌て戻っていった。


「…………」


残された俺はベンチから動けなかった。


重い鉛をくくりつけられて
海の底に沈んでいくようだ…



< 96 / 280 >

この作品をシェア

pagetop