ドッペルゲンガー
「さっきから人が下手に出ればいい気になりやがって。もう何も教えてやらんぞ?」


「じゃあ、ドッペルゲンガーの件に協力してくれたらいくらでも話を聞くよ。」


三上先生はでかしたとばかりに、海斗に向けて親指を立てた。


「交換条件か。しかしどうも府に落ちんな。これじゃあ、私が海斗に尽くしてまで話を聞いてもらいたいってことになってしまい、なんだか損してる気分だ。」


「あなた仮にも父親でしょ?息子が困ってるんなら助けてあげるってのが普通よ。好感度アップのいい機会じゃないですか!」


「まぁ、そうだな。」


トミーは悔しそうな表情を浮かべながらも、了承した。
三上先生の核心をついたツッコミに、グウの音も出なかったようだ。


「そういえば、誰があの写真持ってきたのかな?」


海斗はふと疑問に思った。


「やっぱりここにいたのね!大変なことになってるわよ!」


その時、高岡先生が息を切らしながら保健室に入ってきた。


「どうしたの?そんなに慌てて。」


三上先生が問いかける。


「西村君が今教室に来てるんですよ!あれ?」


高岡先生の目はトミーに向けられている。


「清水君、あなたは何でここにいるの?」


「ん、私のことか?」


トミーは自分を指さして言った。


「あなた以外誰がいるの?早く教室に戻りなさい。」


「清水君、朝から気分がすぐれないみたいなの。もうちょっと様子を見てから教室に戻しますので。」


三上先生が素早くフォローする。


「それなら仕方ないわね、お大事に。
それと、西村君はまだここにいなさいよ。」


そう告げると、高岡先生は保健室を出ていった。
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