ドッペルゲンガー
「なんかおかしいと思ったらおじさんじゃねぇか。
今度は学級委員長かい。」

やはりというか、おじさんは稲岡先生が床に叩きつけられる直前に、近くにいた学級委員長へと移っていたのだ。


「しかし、父親としてお前を助けてやるのには好都合だ。感謝しろ。」


「いや、だからあんたはオレの親父じゃないって。
清水敏行、あんたの息子は清水雄だろ?」


「いかにも、私が清水清敏行だ。私は封印されている間に息子の名前まで忘れてしまっていたようだ。情けない。
そもそも、私がまだ写真に封印されていたときの写真の持ち主がお前そっくりでな。息子じゃないかと思っていた。いや、すまない。」


おじさんの話は興味深いものだった。


「封印だって?おじさん何かヤバイことでもやらかしたのか?」


「まぁ誰も信じないだろうが、私は悪魔と契約を交わし、事業を成功させた。
しかし、私は代償を払えなかった。
だから私は肉体を奪われ、写真に封印された。
あの封筒も特殊なものだ。ただの封筒ではないぞ。強力な魔の力がかけらている。だから私も抜け出せなかった。
そういえば封筒はどこにやった?」


トミーの言ってた『黒いもや』ってのはデタラメじゃなかった。
海斗はバックを開け、封筒を探した。


「あれ?封筒がない!」


「バカ野郎、魔の力は人の心を惑わす。
直ちに処分しなければ!」


それなら最初からそう言えよと思ったが、今はそれどころじゃない。
必死に記憶を辿る。すると、保健室の机に置いたことを思い出した。


「おじさん、保健室だ!急ごう。」


海斗達は保健室へと急いだ。
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