ドッペルゲンガー
肩から下げたショルダーバックには申し訳程度の大学ノートと筆箱、弁当が入っており、いわゆる置き勉スタイルをとっていた。


「うわ、またハズレだ。」


この高校では、毎朝正門と裏門のどちらかに生徒指導の稲岡先生が立っている。生徒達は毎朝、どちらに先生が立っているのか予想しながら登校しているのだ。


「おはよう!おっ海斗〜また会ったな。ほらシャツが出てるぞ、まったく‥今度から罰金とるぞ。」


海斗は入学当初から先生方から目をつけられている、いわゆる問題児なのだ。
なので、生徒指導の先生とはある意味、仲むつまじい関係なのだ。


「はいはい。先生、もしかして超能力者なんすか?」


「まぁな、以心伝心ってやつだ。」


「‥いしんでんしん?」


やはりというか海斗は頭のほうも問題児であった。
しかし、女の子にはモテた。ただ、それだけが取り柄ってのも悲しいものなのだが。
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