ドッペルゲンガー
第十章 明かされる真実
変人は顔を押さえてその場に倒れ、のたうちまわる。どうやらクリティカルヒットしたらしい。


「ちょっとやりすぎちゃったかな。」


トミーが頭をかきながらこちらへやってくる。
実はトミー、フリスビー名人なのだ。
本人曰く、『オレの手にかかれば、フリスビーで野菜を切ることも、蝿を落とすこともできる』ということだ。
しかし、その目で実際に確かめた者は誰一人としていない。


「うぅ痛い。鼻が折れた〜。勘弁してくれ〜!」


変人が海斗の足を持ち、泣き喚いている。


「まったく、強いのか弱いのかわから、おわっ!!」


なんと、握っていた足をいきなり手前に引いたのだ。海斗はバランスを崩し、後ろに倒れる。
当然後ろにいたトミーも突然のことに何もできず、二人ドミノ倒しとなった。


「ケケケ、ざまぁみろ!油断は禁物って学校で習わなかったのか?」


「お前こそ!」


海斗はムカついて、思いきり顔を足蹴にした。
変人は奇声をあげて、再びのたうちまわる。


「ドッペルゲンガー、イナティーを投げた実力は認めてやるが、やはりオレには勝てなかったな。」


海斗は変人を上から見下ろし鼻高々吹聴する。


「おい、海斗!なに手柄を独り占めしてんだよ!」


トミーが後ろから海斗の頭をどつく。


「ドッペル‥ゲンガー?なんだそれは?」


変人はようやく起き上がった。


「お前のことだよ。未来でも過去でもさっさと帰れ!」


「何言ってやがる?オレはお前の双子の兄だ!」


その言葉に海斗とトミーは固まった。
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