ドッペルゲンガー
教室に入ると、なにやら後ろのほうで人だかりができていた。
その中心にいるのは、海斗の悪友清水雄(しみずゆう)。通称トミーだった。


「おいトミー、朝っぱらから何やってんだよ。」


すると、トミーは待ってましたと言わんばかりに席を立ちあがった。


「噂をすればなんとやら、カイの登場だぁ!」


その掛け声と同時に周りのギャラリーが沸く。


「噂をすればって、なんのことだよ?オレは最近は何もやらかしてねーぞ。それはトミー、お前が一番知ってるだろ?」


するとトミーは笑いをこらえながら、海斗を指差してこう言い放った。


「じゃあさぁ、昨日の夜どこで何をしてたか言ってみろよ。」


「昨日の夜?お前と別れたあとまっすぐ家に帰ったぞ。」


海斗がそう言い終えると、ドッと笑いがおきた。


「あ〜腹いてぇ。まさかそんな言い訳通用すると思ってんの?
よ〜く聞け。お前はオレと別れたあと確かに帰ったさ。しかし、問題はその後だ。」


トミーは席に座りなおすと続けた。
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