ドッペルゲンガー
教室に戻ると、新たな問題が発生していた。
トミーがいないのである。と同時に、オレがトミーを殴ったこともバレてしまった。


「西村君!やっぱりあなたは何か問題を起こさないと気が済まないようね!早く清水君を探してらっしゃい!!」


「は、はいっ先生!!」


そのやりとりにクラスのみんなが爆笑する。
くそぉ、オレは朝から笑われっぱなしじゃねぇか。
それも全部偽海斗のせいだ、覚えてろよ〜!
海斗は心の中で叫びながら教室を出た。


「トミーのやつどこ行きやがったんだ?もとはといえば‥ん?待てよ。」


トミーが駅前で見たのはオレだったって言ってたな。長年付き合いのあるトミーさえも騙すくらい似てるっていうのか?相手は変装の達人か?


「いつまでそんなとこにいるの!探してきなさい!日が暮れるわよ!」


「大丈夫です先生!だいたいのウメボシはもうついてますから。」


「それを言うならメザシでしょ?さぁ早く!」


「メボシですよ、先生。」


学級委員長がボソッとつぶやいた。


「そうとも言うわね。さっ、授業が始まるわよ!急いで準備しなさい!」


しかし、みんな笑いをこらえるので精一杯だった。
こんな具合に高岡先生はどこかハズれてる人なのだ。

いっぽう海斗はというと、保健室に来ていた。
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