【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「藍沢 廉」

「はい…っ!」


 一番の人が呼ばれた。

 ……練習のときの、3倍近くある…声。

 ――すでに、泣きそう。

 みんな、いい式にしようって、頑張ってる。


 1組でよかった。

 最後のほうだと…本当に、泣いて返事できなさそうだから。


 一人ひとり、先生に名前を呼ばれ、壇上へ。

 1組で決めてたこと。

 こっそり校長先生に、「ありがとうございます」って、一人ひとり言っていく。


「佐久間 勝人」

「はいっ!!」


 ―――勝人。


「角田 藤架」

「はい!」


 ――――藤架。

 こうやって一人ずつ、卒業していくんだ。


 …とうとう私の順番が回ってくる。



「早瀬 春」


「はい……っ!!」



 時間が止まったような感覚。

 だけど確実に、時は流れている。


 卒業証書を、受け取る――。


< 11 / 37 >

この作品をシェア

pagetop