【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「ありがとう…ございました」


 どうしよう。

 緊張や、悲しみや、不安や――目に見えないものに追われているような感覚。

 声が震える。


 先生、聞こえましたか…?


 次の人の名前が呼ばれる。

 “確実に、時は流れている”。

 実感したくなくても実感する。


 祝電披露。

 卒業生の歌、在校生の歌。

 そしてとうとう――式が終わった。


 最後の学活の時間…。

 一人ひとり、一束ずつ担任の先生に花を渡していく。


 泣きながら渡す子も、中にはいて。

 本当にこのクラスは楽しかったから……。


 一言ずつ、言葉を残していく…。


 「ありがとう」も、「忘れないで」も……何度言っても言い足りないほどに。



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