【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「にしても…電車、間に合うの?」

「まぁいいんじゃね?別にこれ遅れても問題ないだろ」

「そうだけど…」


 結果が気になって仕方がない様子の藤架と反対に、勝人はむしろ結果なんて見たくないとでも言うようだ。


 …どうしよう、落ちてたら。

 あれだけの努力をしたのに自分を信じられないのが、また怖かった。


「大丈夫だって。心配すんな」


 ぐしゃぐしゃっと乱暴に、私の頭を撫でる勝人。

 …いつもどおりなフリをしてることくらい、気づいてるんだからね。


 さすが合格発表の日とでも言おうか、平日だというのに電車は混み放題。

 高校入ったらこれより混むんだなぁと思うと、ちょっと気分が悪くなりそうだ。


 ……って、あれ?


「勝人…っ藤架――!?」


 気づけば二人とはぐれてしまっていた。


 少し遠くに一瞬見えた、勝人の頭。

 でもたぶん戻れない…。


 そう思ったら。

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