【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「春っ!」


 勝人の声が聞こえた。

 こっちに手を伸ばしている。


「頑張ってこっち来いよ、席開いてる」

「え…っ」


 そういう勝人は当然座っていないわけで。

 なんともいえない申し訳なさを感じながらも、勝人の手に引かれ半ば無理やり場所を移る。


「大丈夫ー?ったく、佐久間が目離すからでしょっ!?」

「はぁっ!?何で俺のせ」

「ストーップ!電車で騒がないでよ、みっともないからっ」


「「…すいません」」


 まったく、ピリピリしすぎなんだから。

 私だってこれでも耐えてる方だって…。



 数分で私たちが受けた高校の最寄の駅に着いた。


 どうしよう…緊張する。

 もうすぐ合否が、分かるんだ。

 これから私たちがどんなところで過ごすのか、知ってしまうんだ。


「あ、切符落とした」

「えええーっ!」


 人通りが多すぎる改札で切符落とすなんて…最悪じゃん。


「探せ探せ!」

「ほんとごめん…」

「あんなの見つかるわけないでしょー…っ!」


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――――――――……

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