【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「ああああ…もうやだ………。おなか痛い…」

「藤架、大丈夫?勝人に掴まっときなよ」

「おいおい俺かよ」

「だって私じゃ身長合わないでしょ」


 普段だったら「なんで佐久間なんかに!」と大暴れする藤架だけど、今日は違った。

 本当に体調悪いんだ…。


 発表時間の9時まで、あと30秒。

 場全体を、緊張が包む。


 全身が心臓になったかのような感覚を味わった。


「…来る」


 高校の先生数人が、白い紙を筒状にしたものを持ってくる。

 貼り出しだ…。


「大丈夫か?藤架」

「…どーにか」

「顔色…悪いよ?」


 かなり緊張しているんだろう。

 正直入試のときよりさらに気分が悪そうだ。


 上にくくりつけられた、紙の筒。

 9時になった瞬間、いっせいに縛っていた紐を解かれた。


 最前列で待っていた私たち3人。

 自分の受験番号を必死で探す…。


 近い番号を見つけて、ひとつずつ辿っていく時間が、とてつもなく長く感じる。


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