【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「あった………っ!」


 呼吸が止まるかと思った。


 本当に?本当に?

 何度も見直すが、そこに書いてあったのは紛れもなく私の受験番号。


「あ…っ。あった!あったよー……っ!!」


 涙を流す藤架。

 緊張からの開放。


 よく…頑張ったね。


 しかし―――


「あー…やっべ」


 そう。

 1人この中に、受験番号が書かれていない人がいた。


「落ちたわ…っ。やべーな俺男子校じゃん」


 藤架の一つ前の番号が、確かに抜け落ちていた。

 その受験番号は勝人のもの…の、はず。

 ねぇ勝人、私…今、なんて声をかけたらいいかわからない。


「何でいちいち男だらけの学校に毎日通わなきゃいけねーんだよ、暑苦しい」


 ショックをごまかすような話し方。

 そんなの、必要ないのに。


「まぁ…部活とかも有名じゃん!?いっそ何か入っちゃいなよ」

「えー……足引っ張るじゃんよ」


 勝人と藤架のまるで気にしていないような会話。

 もしかして、むしろ私が気にしすぎなのかな?


「じゃぁとりあえず、中学校に報告いこっか?今からで大丈夫だよね」


「だな!俺大爆笑されそう」


 …極力明るく振る舞う二人に私は、そうだね、の一言しかいえなかった。


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