【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
 先生は、不思議な人で。

 優しくて、でも時には厳しくもあって、お父さんのようなお母さんのような、どちらでもないような…。

 そんな人だった。


「ありがとうございました」


 一度頭を下げた後、振り返らずに門のほうへ進む。


 みんなは報告が終わってからも友達と話そうとか、そんな理由でまだ残ってるけど。

 そんな事してたら…帰れなくなりそうで。


「あー…本当に、もう来る事ねえんだな」

「そんなこと言わないでよ…。確かに、もう来る理由ないけどさ」

「離任式は行こうよ。最後なんだし」


 …“最後”。自分で言ってて悲しくなる。




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