【完】別れの季節、出逢いの季節-勿忘草の想い-
「ねぇねぇっ!どこ中出身?」


「あ……っ」


 ……合格発表の日に聞いたクラス編成にしたがって、自分の教室に行ったんだけど。

 藤架と分かれた上に突然話しかけられて…固まってしまった。


 これでも結構人見知りをするほうだから、かなり反応に困る。


「あ、ごめんね?あたし早瀬 紀野(ハヤセ キノ)。…って、あー!同じ苗字!え、『ハル』って読む?」

「あ…いや…えと、『シュン』」

「ごめん!あ、じゃぁさ、春って呼んでいい?」


 …ここで断るのも変だよね。

 正直ちょっと馴れ馴れしいと思ってしまうのが本音だけど。


「うん」

「じゃぁ春ね!あたしのことは紀野って呼んで?」

「…うん」


 駄目だ。最初の頃からこれじゃ。

 というか藤架が恋しい……。助けて…。


 すぐ来てくれると思ってた藤架は3つ隣のクラス。

 私一人じゃ、やっていける気がしないよ。

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